2018年 01月 31日
面白かった本 |
”時がつくる建築 リノベーションの西洋建築史”/加藤耕一著
ここ数年、歴史的建造物に以前より注目するようになり歴史的建造物専門家(ヘリテージマネージャー)として勉強会等に参加することも多い。
そんななか、なんとなくモヤモヤした気持ちになることも多かった。そのモヤモヤを
晴らしてくれるような本。
建築が有している価値観=A「再開発的建築観」:もともと建っている建物は壊して
更地にし、新しい建物を建てましょう、という考え
B「文化財的建築観」:古き良き建物を昔のまま”保存”し
ましょう[主にファサード(道路から見える部分のみ)]
を、という考え
C「建築再利用」の価値観:建物をその時代に合わせて
”転用”しましょう、という考え
日本は近代になって「建築」を学ぶ上で、AとBのみを”西洋の建築の本質”として
捉え、Cの価値観を学び損ねてしまったのではないか?と著者は言う。
大学や社会で学んだり習得する”建築設計”は圧倒的にA。
ヘリテージで学ぶ内容はB。
この二つは対極的で、建築設計の実務の際”白か黒か”という判断に迫られる。
Cについては実務の際、結果としてこれに近いカタチになることはあるが、AとBに
比べて、なぜその方法を選んだのか?という問いにはっきりと答えることが難しいよう
に感じていた。
本書では、そんな「建築再利用」の価値観の歴史を西洋建築の具体的事例を基に紹介
してくれている。
▲
by yoshikenarchi
| 2018-01-31 16:03
|
Comments(0)